あてんしょん!

*キセキが皆女の子だよ!
*でも皆キセキすぎて女子じゃ歯がこれっぽっちもたたないから、みんな高校は男バスだよ!
*みんな原作と同じくらいつよいお!



男バスに所属するキセキ♀の話【緑間編】



 あまり名の知られていなかった帝光の女子バスケット部が、三年程前突如として優勝候補争いに名乗りをあげ、そしてその年からあっという間に全中三連覇を成し遂げた。部員は多かれど、試合に出ていたのはたったの五人。そのたった五人でほぼ全ての試合をほぼ無失点トリプルスコアという偉業でもって勝利した彼女達は、「キセキの世代」と呼ばれていた。そんな彼女達は、皆そろって違う高校へと進学した。入部先は、女子バスケット部ではなくーーー男子。彼女達のあまりの強さに、ついてこれる女子がいない。男子ですら圧倒してしまう程の実力を兼ね備えた彼女達は、日本バスケットボール協会が異例中の異例として男子バスケ部への入部を認めた、稀有な才能をもった者達だった。



2





























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 秀徳高校は、強豪とあって、バスケ部がずいぶんと優遇されている。ロッカーを兼ね備えた部室が二部屋あり、一軍・レギュラー用とその他である。緑間が放課後最初にする事は、体育館に最も近いトイレで着替える事だ。彼女のロッカーはレギュラー用の部室に完備されているが、制約が色々と多いので面倒なのだ。昔からミーハーな女子が絶えなかったという理由で秀徳のバスケ部は女子マネージャーを捕らないという方針のため、今まで困っていなかったのだが、緑間が入ってきた事でがらりと変わってしまった。
 緑間のロッカーは、レギュラー用の部室の一番奥の、ちょっとした死角に位置している。部室の隅に置かれたそれの周りには、服飾店にある様なカーテンが半円を描いてびっちりとかけられていて、それは布のひらひらしてやつではなく、いわゆるプラスチック製の、取っ手の部分が磁石になっていてかっちりとしまるやつだ。更にフック式の簡易の鍵が上下に一つずつあり、万が一にも彼女を覗くなんてものが現れない仕様になっている。ただやはり男女のうんたらかんたらの配慮という事で、緑間はレギュラー全員が着替え終わり、部室を留守にした時にしか使えない。彼らも緑間を気遣ってなるべく早く着替えて出ていってくれようとはするが、それでも緑間が部屋の外でじっと待つ、無駄な時間がある事には変わりない。彼女にはぼーっとしている暇など無い。早く練習したいのだ。だから緑間は、トイレで着替えてから体育館に向かう。

 一番奥の個室は割と広い。服を全て脱ぎ捨ててから、頑丈なスポーツブラに着替える。下着もラインが出にくいものにはきかえる。ぴったりとしたタンクトップを身につけてからTシャツを着た。バスパンの下にはスパッツ。帝光時代にはしなくてよかった気遣いに、緑間はため息をつきたくなった。いくら実力がどうのこうのといっても、年頃の男女、それどころか男子の群れに女子が一人、汗水たらしているのである。色々と危惧しなければならないのはある意味当然なのだが、正直に言うと太ももくらい見られても全然構わないからもっと楽な格好をさせて欲しいと思う。けれど、万が一赤司の言いつけを破って肌を晒した日には、日、には・・・。

『お前達に何か、もし何かあったら、・・・・・僕は』

 にたり、と邪悪な笑顔を見せながらも存在感たっぷりな剣呑な瞳に、キセキは恐れおののいた。自衛だ。自衛しなくては!
 そんな訳で彼女らはキャプテン赤司の指導のもと、様々な方法で自分をガードしている。


 そのいち ユニフォームの下に必ずスパゲティストラップ・またはタンクトップのインナーを身につける事。だるだるしたの禁止!
 そのに バスパンの下にはスパッツをはく事。チラリズムなんてゆるさないよ!

 そしてその3、4、5・・・と続くのだが、それらは基本的に無いものとして扱われている。(曰く、「部員の前で髪を結ばない。うなじハァハァとかされたらどうするんだ!」「部員の前でため息をつくな!吐息エロいとか思われたらどうするんだ!」「部員の前でユニフォームを使って汗を拭くな!お前達の可愛いヘソを男にくれてやるんじゃない!」「接触はハイタッチのみ!それ以外はセクハラで訴えろ!」)



3





























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 さら、と背中の中程を過ぎようかと言う程にのびた、ゆるやかなウェーブを描く髪が手に取られる。切ってしまいたいが、皆に切るな切るなと言われるので切れない。というより、キセキは赤司の許可が無いと美容院にもいけない。彼女らの髪を切るのは赤司の特権なのだ。丁寧に櫛で集めながら大きな手のひらに集められていく。時折引っ張るようにして梳かれる度に首がぐ、と後ろにそれて、緑間は手の中のぬいぐるみに力を込めた。
「高尾、痛い」
「あ、ごめん真ちゃん」
 丁寧に集めた髪の束を頭頂部でまとめ、黒のゴムでポニーテールにする。
「真ちゃん、今日はどれがいい?」
 傍らにある小さな箱を引き寄せて、ふたを取る。中には色とりどりのリボンやカチューシャ、バレッタなどが収められていて、高尾は緑間の今日のラッキーカラーを思い出しながら訪ねた。
「・・・・今日のラッキーカラーは、黄色なのだよ」
「黄色ね。黄色黄色、と」
 箱の中をかき分け、黄色いものを出していく。さほど大きい箱ではないので、すぐに全て探し出せた。
「丸いつまみ細工のかんざしでしょ、レモン色のリボンでしょ、フリルのついたカチューシャでしょ、花のコームでしょー、どれにする?」
「どれでもいいのだよ」
「まァーたンなこと言っちゃってー」
「部活中に邪魔なだけなのだよ」
「それ言うの何回目よ?大丈夫大丈夫、この高尾君にまかせんさいって。お団子にリボンにするよ?」
 黄色のゴムを取り出して、ポニーテールをさらにまとめてお団子に結う。しっかりとまとまったのを確認してから、伸縮性のあるリボンを器用に巻いていく。一度ゴムに通して万が一にも落ちないようにしてから二巻き、きゅっと結んでから蝶々結びにする。両端をまとめてもって肩結びにすれば、完成だ。バスケをしてても外れない。
「うっし完成!真ちゃん可愛い」
「うるさい」
「照れんなって。宮地センパイだって今日は絶対なんも言わないね。俺今日すげー自信ある」
 箱からはみ出ている他のアクセサリーをしまってふたをして、付属のリボンで固定する。ベンチから立ち上がって回り込み、高尾は床に座り込んでいた緑間の右手を優しく取って引っ張り上げた。緑間の方が数センチ高いけれども、おかまい無しに額に触れる。乱れている前髪をちょいちょいと直してから、ニッと笑った。
「真ちゃん、今日も世界で一番可愛いよ。部活がんばろうな」
「・・・うん」
 ぽぽぽぽ、とちょっとずつ赤くなっていく緑間は可愛い。可愛い可愛いと思いながら、緑間の右手を握る。もう片方の手に箱のリボンをひっかけて、緑間を引っ張っていった。
「おっし、アップしにいこーぜ!」
「手を離せ、高尾!」
「いーじゃん。真ちゃんの手、すべっすべでキモチーんだもんよー」
 爪も綺麗だし。真ちゃんて、何気に女子力高いよなー。










「なァ、なんなのあいつら。轢いていい?なぁ、轢いていい?木村、トラック貸してくんね?」
「えー・・・」
「なんだよえーって。いつもなら『おう俺んち八百屋だからかしてやんよ』とか言うじゃん」
「・・・だってよー」
「んだよ」
「今日の緑間可愛いじゃんよ」
「はァ!?お前いっつも緑間むかつくっつってんじゃん!」
「そりゃオメーだろ!いやそりゃ試合中とかはむかつくけど!けどほら・・・見てみろよあれ・・・ほら、大坪だってさー・・・あれ絶対きゅんきゅんしてっだろ・・・?」
「やっ・・・そりゃ・・・緑間は顔は可愛いけど・・・」
「高尾な、まだ告白してねぇってよ」
「うっそ!あれだけやってて!?」
「緑間と同じ身長になったら好きだっつーんだって」
「え、毎日言ってるくね?」
「いーや、よくよく聞いてるとあいつ、真ちゃんは今日も世界一可愛いとか世界一凄いとか言ってっけど、好きはいってねぇ」
「えー・・・まじかよ」
「一年がこう、恋愛してんのってかわいーよな」
「えええ・・・そおお・・・?」



この後、ランニングはもちろん男子と並行して走っちゃうしメニューも全く同じのこなしちゃうし女の子だけどディフェンスも全国トップクラスなのをミニゲームとかで発揮しちゃったり相変わらずっぱっぱっぱっぱ3P決めちゃったり相変わらずわがまま一日三回とかあったりするんだけど、 女の子だから、 ラッキーアイテムもっててもかわいーなー とか わがままもっと聞いてあげたい・・・ とか 監督に頭なでられたり とか 大坪キャプテンに頭なでられたり とか 宮地センパイは一人なんか変に意識しちゃって部で一人だけ好きな子をいじめちゃう小学生みたいなテンションで緑間につっかかってて そんでもって それに対抗しちゃう真ちゃん(宮地より背が高い) でも 女の子だから普通の真ちゃんよりも繊細で休憩中とかぬいぐるみぎゅっと抱きしめてぶすっとしてたら可愛いなって そんで 宮地にお前かわいくねーんだよ!!とか言われてそんな事解ってる別にバスケに可愛いさなんて必要ないのだよとかすねてる真ちゃんをみて そして そんな真ちゃんをよしよし、真ちゃんは世界一かわいーよ?俺が一番よく知ってるもんねとか言っちゃう高尾君とか そんな 緑間ちゃんin秀徳男子バスケ部をかこうとしたけど 力尽きた・・・・_ノ乙(、ン、)  ◆ちなみにこれを書いたときはまだ宮地さんの身長が公表されてなくって、 私も例に漏れず平均身長の方だとおもってました・・・・

2012年7月24日(支部初出2012年7月2日 00:00)