「じゃあ、今月の世界を決めましょう」
ふわふわとした雲のようなテーブルを、マシュマロのような椅子に座って囲んでいるのは、 ルルーシュ、スザク、ミレイ、シャーリー、リヴァル、カレン、そしてニーナだ。 テーブルの真上に浮かぶよう映し出されている世界の一部、日本の全体図を見て、リーダーであるミレイが手を叩く。 それぞれが書いてきた素案を自分の前に並べたのを確認して、ミレイは口を開いた。



せかいの一粒



「今日の空は綺麗だったな、スザク」
「本当?ありがとう!ニーナが昨日雨を降らせたから、晴天にしたんだ」
「シャーリーの虹も綺麗だったよ」
「ありがとー!雨、空とくればやっぱり虹でしょ?」
「はいはーい、それを綺麗に輝かせるミレイさんもほめて欲しいなーっ」
ルルーシュの入れた、シャーリーのカケラを少し入れた虹色の紅茶を口に運ぶ。 元気が出るようにミレイのカケラも少し入れてるから、一月の終わりには最適だ。
「昨夜のルルーシュの星も綺麗だったな。ホッカイドウなんて最高だった」
「ありがとう、カレン。ホッカイドウの空に満天の星を描くのは久しぶりだからな。気合入れたんだ」
「ニーナの雨も、涼しくて気持ちよかったーっ」
「会長照らしすぎですよ。私が苦労するじゃないですか」
「ごめんねーカレン。でもカレンの土も気持ちよかったわよ。ホカホカしてるんだもの」
「リヴァルが良い感じに風を作ってくれたから、草の香りがいろんな人に届いたと思うの」
世界を決める前に、まずは先月の品評会。 スザクのあの日の空は最悪な色だったとか、 ニーナの雨がゲリラ過ぎただとか、ルルーシュの星がまったく無かっただとか、そういうほめあいだ。 七人の中で一番忙しいのがスザクとリヴァル。 一番暇なのがシャーリーで、残りの四人は気分によってまちまちだ。 雲で出来たマカロンをお茶請けにしばらく喋ると、漸くミレイが話を切り出す。
「じゃあ、また世界を決めましょう。今日は一日快晴だったわね。明日からどうしよっか」
「あ、会長。僕ちょっと空色の絵の具が切れたんで、しばらくは青空が描けません」
はい、と律儀に手を上げながらスザクが言う。 青空がかけないということは、しばらくはどんより曇った灰色の空ということになる。 そのことにミレイがえーっと不満げな表情をした。
「ミレイさん気合入れる気満々だったのに。じゃあ雨なんかどうかな」
「えっと、清水が減ってるから雨は二日ぐらいしか持たないんだけど・・・」
「二日もあれば絵の具も作れるから、ぱーっと晴れてシャーリーが虹をかけたらどうかな」
「それいい!」
「じゃあその日は星を描こう。北斗星にしようかな」
「おとめ座も描いてほしいなーっ」
「考えとくよ」
「じゃあ、なるべく早く乾かなきゃ。皆土の上でごろごろするの好きでしょう?」
「だってカレンさんの土気持ちいいじゃん。ブリタニアなんてざらざらしててもうサイアク」
「ブリタニアって風も生ぬるいよね。その点リヴァルは有能だぁ」
「へっへん、暑い夏時こそ冷たい風は必要だもんな!」

「心底、配属が日本でよかったと思うよ」
「みんなに遇えたし」
「最高の仲間だし」
「何より、最高のせかいを作れてる」
「うんうん、俺達はすごいなー」
「そうだな、せかいはすごい。」

「せかいは美しく、せかいは優しい」

「醜く、酷いのは人間だ」



雲の上でのせかい日本支会議。 議長・太陽のミレイ、副議長・星のルルーシュ、空のスザク、虹のシャーリー、土のカレン、 風のリヴァル、雨のニーナ

2008年9月14日