―――きっと誰にも同感はされないだろう、けれど。 ルルーシュは、ああ見えて、C.C.が存外泣き虫なのを、知っている。

ベッドの上で、昔スザクがルルーシュにくれた、日本の絵本を読んで、静かに、 けれどぼろぼろと涙をこぼしていたのを、知っている。
現在で言う「ベタ」な、アニメでの親友との死別のシーンを観て、 ルルーシュが騎士団の仕事をしている時に、邪魔をしているのだとせせら笑いながら背中に顔を埋め、 大きなシミを作ったのを、知っている。
C.C.が「C.C.」となる前に生きていた国と時代の食べ物を思い出し、 こっそり作っておいておいたら、一口食べたC.C.が泣きながら頬張っていたのを、知っている。
マオを殺したとき、三日三晩、泣きながらその骸を抱いていたのを、知っている。
ゲットーで一人捨てられていた赤ん坊を誰もが気まずそうに通り過ぎて行く中、 泣きながら赤ん坊を抱きしめていたのを知っている。
つれて帰れないのはわかっていながら、せめて雨の間だけはと、傘などないくせに赤ん坊を抱きしめ、 傘代わりに雨をすべて受け止めていたのを、知っている。
案の定風邪をひいて、甲斐甲斐しくルルーシュに看病され、 その暖かさにチーズ君に顔を埋めて泣いていたのを、知っている。
ルルーシュの頭を抱き込み、ユーフェミアの死を一緒に泣いてくれたのを、知っている。
シャーリーの死を、自分にも責任があると言って泣いてくれた事を、知っている。
響団の子ども達を、疎ましく思っていながらも、実は愛していたことを、 だから泣きながら殺していたのを、知っている。


本当はたくさんのものを愛していて、たくさんの物に愛されたいだけなのに、 自分たちしか愛せない二人に出会って、愛されているのだと勘違いして、泣いたのを知っている。

―――お前とあえて幸せなのだと、嬉しいのだとしゃくり上げながら、大泣きしているC.C.を、 ルルーシュは今まさに、抱きしめながら見ていた。



誰かの ために 大泣きできる 子



C.C.の愛情は、いつだって静かで、静かだった。決して悟られないように、いつだって横柄に振る舞って。 ただ、ルルーシュが聡すぎたのだ。
きっと今の自分なら。 今の自分なら、C.C.のために、様々な物を犠牲にしてでも、彼女を笑顔にするだろう。 そう思えるほどに、いつだって誰かの為に泣いているC.C.を恋い焦がれている事を、 ルルーシュは自覚していた。



だからこそ俺は、「私だけは傍にいる」という言葉を、何の疑いもなく、

2011年1月24日 (2009年7月2日初出)