十五万打ありがとうございます!
リクエスト、アンケート、と続きまして、十五万打記念はフリー小説にいたしました。 CPは事前にしていた十五万打記念投票でぶっちぎり一位だった星ルル♀です。
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では!

現代パラレルな星ルル♀。ルルは大学生で星刻は・・・なんだろう笑
らぶらぶいちゃこら同棲中です。
【貴方が傍に居るという事、を読む。▼】





















貴方が傍に居るという事



1.帰り道

今日の講義は昼過ぎまで。黒縁めがねをケースにしまい、ペンケースとルーズリーフをかばんにいれて立ち上がる。 かばんを肩に下げてから時計をみたら、もうすぐ二時だ。 隣の席に座っていたシャーリー軽く手を振り、教室を出た。夏の日差しが暑い。
クーラーで寒いくらいに冷やされた部屋から一瞬でねっとりとした空気がほほをなで、 ルルーシュは鬱陶しげに首に張り付く髪を払った。 あまりの暑さに先週ばっさりとショートカットにしてしまったとはいえ、やはり暑いものは暑い。 ついつい暑い夏場でもそのロングヘアーをどうにもしない恋人の顔を思い浮かべて、 ルルーシュはそっと笑みを唇に乗せた。
大学を出たら近所のスーパーへ移動し、カートを押しながら財布の中の残金と今日つくる夕飯の献立を頭の中で確認する。 途中日持ちのするものなどをちょくちょくカートに入れていきながら、 ルルーシュは頭の中のリストから籠に入れた物を消していった。 レジに移動して支払いをし、主婦歴○年の年季で買ったものを要領よく袋につめていく。 硬いものがした、やわらかくてもろいものが上、みずっけのあるものは別の袋。
二つのビニール袋を入れた大きい(とっても大きい)トートバッグはいささかルルーシュには重かったけれど、 肩に下げつつ両腕で抱えれば重さも半減だ。見えない足元を気にしながら、ルルーシュはスーパーを出た。
いつからかいたのか、スーパーの前のレールに腰掛けていた恋人の姿を目に止める。
「星刻」
ルルーシュに気づいた星刻がすぐさまルルーシュから袋を取り上げ、難なく肩にしょった。 軽くなった両腕を手持ち無沙汰に見たルルーシュは、そのまま両腕を星刻の首に絡め、ありがとうと頬にキスをした。



2.指先の沈黙

暑さというのは体力だけでなく気力も削ぐものだ。 いくら軽い鞄を持っているとはいえ、 元から体力もないルルーシュには少しばかりではない程度にすごしにくい季節だった。
隣を歩く星刻はルルーシュに対し涼しげな顔をしていて、頬を流れ落ちる汗を時折ぬぐいながらも、 疲弊したような顔はしていない。重い買い物袋さえもっているというのに、その足取りはよどみないものだった。
あつい。暑いものは暑い。
暑くても平面ならばいつものスピードででも歩けただろう。 しかしこの斜面は何なのか。いつもなら気にも留めないはずの斜面が、今日は一段と傾いて見える。 しかもゆらゆらと幻想まで見ているようにゆれるのだから、 ルルーシュはそれが陽炎なのかそれとも暑さで自分の頭がいかれたかの判断がしづらかった。
だんだんとスピードを遅らせてきたルルーシュに気づき、星刻はいったん足を止めた。 振り返って見れば、案の定ルルーシュが数歩後ろでゆっくりと上ってきている。 最近寝不足で精神的にもつらいものがあるのは知っていたし、 なによりルルーシュには体力がないのも最初からわかりきっていたので、 星刻はため息をつくこともなくルルーシュが星刻と並ぶのをまった。 ノースリーブの上品なタンクトップから除く二の腕が輝かしい。 色も白いから太陽の光に反射して、まるできらきらしたダイヤモンドのようだ。
ちょっとまて自分、夏場の斜面で何くらっときてるんだアホ、いやでもこれはルルーシュが悪い、 と目眩を起こしそうになった自分をルルーシュの責任にして、星刻はルルーシュの手をとった。 驚いたように見上げてくるルルーシュの額にへばりつく前髪を払う。
「いくぞ、ルルーシュ」
「・・・ああ・・」
ルルーシュの手を力強く引っ張って、星刻は見事に同じペースで坂を上りきった。 勢いをつけて同じように上りきったルルーシュが大きく息を吐く。 星刻に寄りかかるように抱きつくのを感じて、これは暑くないのか、と星刻は思った。 ルルーシュだったら別に暑くてもいい、と思ってるのを自覚して、星刻はそのままルルーシュの肩に腕を回した。



3.二人分の夕食

「二人で鍋と言うのも、どうなんだろうな」
「いいんじゃないか?一人鍋ほどさびしいものはない」
先週買ったのだと嬉しそうに鍋を掲げて見せたルルーシュの輝かしい笑顔で、 星刻は瞬時に今日の夕食が鍋であることを悟った。 真夏に鍋、なんて季節はずれなんてことは考えてはいけない。夏に鍋というのも乙だ。
ルルーシュの買った鍋というのは陰陽のマークのように鍋の真ん中に仕切りがあるやつで、 一回の鍋で二つの種類が楽しめるという物である。もちろんその仕切りが動くことはないので、 どっちかにどっちかの味が移るなんてことももちろんない。
そんなルルーシュは片方に星刻の好みであるキムチ鍋、自分には味噌鍋を用意している。 だが別にお互いの鍋を取っていけないというわけではないので、 二人は向かいあって皿を開けるごとに交互に種類を堪能している。
「ん、このつみれ美味いな」
「そうか?」
舌鼓を打った星刻の言葉に首をかしげて、ルルーシュがつみれを一つ器によそった。 とろりと市販のものよりもやわらかいそのつみれを咀嚼して、ルルーシュは眉間に皺を寄せた。
「とろとろしすぎてないか?つみれは唐突に思い出してつくったから、分量とか適当だし」
「いや、美味い」
「・・・そうか」
一体自分はどのくらいの分量で作ったのかを反芻し、シミュレートする。こんなに美味しいと言ってくれているのだから、 もう一度同じものを今度作ってあげたい。
そろそろ両方の鍋の具が無くなってきたところで、ルルーシュが席をたった。 冷蔵庫の中身をみて、星刻を振り返る。両手には今朝のご飯が入ったタッパーと二玉のうどんだ。
「星刻、おじやとうどん、どっちがいい?」
「うどん」
「はいはい」



4.寡黙な恋人

星刻は風呂に入りながら考え事をする事が多い。 自分も同じようなふしがあるのは自覚しているのであまり強くはいえないが、それでもこの状況はなんなのだろう。
二人でシャワーを浴びた後、星刻は当然のように湯船に使ったルルーシュを後ろから抱き寄せた。 ひざの上に抱えるように抱き、腹の前で腕を組む。 そのままうなじに顔を埋めるようにして考え事を始めた星刻は、 ルルーシュが手持ち無沙汰にお湯と遊んでいることなど気づきもしない。
「星刻ー・・・」
名を呼んでみるものの、星刻からの返事は一切無し。こいつ寝てんじゃねえだろうな、 とちょっと口の悪いことを考えながら、ルルーシュはかくんと首を後ろに倒した。 ちょうど星刻の頭に頭がぶつかる。痛い。勢いが強すぎた。
「痛い、ルルーシュ」
「こっちも痛い」
顔を羞恥に赤らめて唸れば、ようやく考え事とやらに没頭していた星刻が微笑んだ。 急降下中だった機嫌がそれだけで鰻上りになるのだから、ルルーシュは俺って現金だな、と心の中で笑った。
くるくると、星刻の節くれ立った長い指がルルーシュの髪を弄んだ。頭のてっぺんからうなじにかけて、何度も梳かれる。 うなじに到達する直前でするりと拍子抜けしたように指が抜けたのを感じて、ルルーシュは星刻を振り返った。
「星刻?」
「ああ、いや・・・まだ、短い髪になれていなくて」
「まぁだ言ってるのか?」
「私は君の長い髪が好きだったのに」
その言葉にむっとすると、ルルーシュはぷいとそっぽをむいた。 そりゃあ、ルルーシュの長髪を気に入っていた星刻に何の前触れもなく、ショートヘア姿で会ったのはルルーシュだ。 いきなり短い髪になって登場したルルーシュを驚愕に見開いた目でガン見してきたのは、もう一週間も前の話。 いい加減慣れてもいいころだろうに。
「・・・長い髪じゃないと、好きじゃないのか」
「え?」
ルルーシュが今星刻が言ったセリフで気にしたのはそこだった。長い髪、が、好きだった。 それではまるで、短い髪のルルーシュは好きではないといっているように聞こえるではないか。
「ああ・・・ルルーシュ」
すぐさまルルーシュの言っている意味にたどり着いた星刻は、腹にまわしていた片方の手を伸ばして肩に置き、 さらにルルーシュを抱き寄せた。後ろから目につく耳やうなじ、肩に順にキスを落としていって、 星刻はルルーシュの耳元でささやいた。
「そういう、意味じゃない」
「・・・分かってる」
「短い髪だろうとなんだろうと、君を好きなことに変わりはないんだ」
「そうだろうさ」
「それに」
ちゅ、とうなじにキスをした星刻が、先ほどよりも強い力でうなじに吸い付き、甘噛みして離れた。
「つけやすくていい」
風呂上りの星刻のほほに、キスマークとは違う真っ赤な手形が残るのは一秒後。



5.「おやすみ」

二人で暮らしているこの広すぎるくらいの2LDKのマンションで、 星刻が何よりも気に入っているのはこの寝室にある、深い木目が美しいダブルベッドだった。 木目の色に合うようにルルーシュがシーツや枕などの色をコーディネートしていて、 その深くてやさしい色合いが何よりも好きだった。 正直、疲れている日はベッドにそのまま直行してしまいたいというのが本音だ。 隣にルルーシュがいるならばさらに良し。
そんな星刻であるから、癒しの二点セット:ベッドとルルーシュが就寝時間にそこにいるのは当たり前の事である。 いつもどおり支度を終えたルルーシュがベッドに入り込むよりも先に腰に腕を回して引きずり込む。 しっかりと抱き枕のようにルルーシュを抱いた星刻がルルーシュの頭のてっぺんに鼻をうずめ、 シャンプーのいい香りに微笑をもらす。
そのあたりがいつもいつも強引だ、とルルーシュは不満そうに言うけれど、それが真実でないことくらい星刻にはわかる。 だってこうやって引き寄せたときに、ルルーシュはホッと息をつくのだから。 寝ぼけて星刻に擦り寄る時などは、やはり愛されていると実感する瞬間である。 たまに聞こえてくるルルーシュの寝言の中に星刻の名前が出てきたりすると、次の日の星刻の機嫌はすこぶるいい。
「星刻・・・もう寝る」
「眠いか?」
「かなり・・・」
いつもより早くまどろみ始めたルルーシュの顔をうかがう。 いつもは少しつり目気味なその瞳が半分とろんと閉じていて、 すでにゆらゆらと意識がもうろうとし始めていることがうかがえた。 体の力を緩めてルルーシュが体勢を整えられるようにする。 星刻の胸にちょうど落ち着いたところで、ルルーシュが首を伸ばした。星刻が頭を下げる。
「お休み、星刻」
その言葉とともに唇に降りてきたキスを受け止め、星刻はルルーシュがしたそれよりも深いキスをして、 眠りの世界に落ちていった。
「おやすみ」



しん、くー・・・。(寝言 (お題はage様より)

2008年12月4日