The Irony of Romeo and Juliet
7. kill the sexuality



今晩もゼロとしての夜を終えたルルーシュが、確かな足取りでトレーラーの階段を上がっていく。 一番奥のゼロの私室の前へ行き、すばやくカレンがパスワードを入力した。 ゼロはただ、足を踏み入れればいいだけ。
後ろのドアが閉まった瞬間にふらふらと揺れ始める身体を抱きとめて、無駄なく仮面とマントを取り払う。 現れた美貌は疲れのためか少し覇気が無くて、 カレンはそっとルルーシュを抱き上げ、そのままソファに優しく降ろした。
数分後、遅れてやってきたC.C.がブーツと拘束服を脱ぎ棄て、ソファに座っているルルーシュの手を優しくひいた。 カレンがルルーシュの腰を支える。 バスタブもついている奥のシャワールームに入っていったのを確認して、 カレンはゼロの仮面、マントやその他のものを片付けた。 今日のルルーシュの様子では、C.C.は彼女を一時間は風呂に入れるだろう。 その間にシャワーを浴びてしまおうと、カレンは自分の匂いを残さないように部屋を出た。 外からロックを確認する。

シャワーを浴び終え、私服に着替えたカレンが再びゼロの部屋で、 今度は紅茶を淹れていると、かちゃりという音と共に熱気がカレンの頬を撫でた。 準備を終えてから振り向けば、ルルーシュがソファにバスローブ姿のまま座っている。 音を立てずに二人分のカップをテーブルの上に滑らせ、カレンは用意しておいたタオルを手に取った。
紅茶を飲みながら手で自身を扇いでいるC.C.の前で、ルルーシュはトロンとカレンに身を任せている。 ゆっくりとタオルで水気を拭いて、カレンは殊更優しく耳の中や首元を拭いた。 両手を首に添え、ゆっくりとマッサージをほどこす。
それが終われば今度はルルーシュの足元に膝を着いて、両腕をいたわり、そして最後に足にたどりつく。 一線を超えないぎりぎりのところの太股から始まり、ゆっくりと揉みしだいていく。膝まわり、ふくらはぎ、そして足。 足の指一本一本までも優しく丁寧にマッサージを与えて、両足とも終わったところでそっと足先に口付けた。 ルルーシュを仰ぎ見る。
「お疲れ様です」
微笑めば、ルルーシュも釣られたように、けれど心からの笑顔を見せる。 丁度いい温度になった紅茶をソーサーと一緒に手渡せば、ルルーシュが背をソファに沈めながらそれに口をつけた。 バスローブから胸の谷間が覗く。ふと水気が谷間に溜まっているのを見て、不快だろうとカレンがタオルを取った。 そっと胸元に手を入れて、丁寧に水分をふき取る。 終わったところできちんとバスローブの前を合わせて、 カレンはドライヤーを取りにシャワールームへと立ち上がった。

欲情は覚えない。



愛している。征服欲だって独占欲だって覚えるけれど。欲情だけは、覚えない。望まない。

2009年4月5日