The Irony of Romeo and Juliet
14. fuck my life



「ルルーシュ!」
たまたまカレンが席を外していた。そしてその場に偶然スザクが居合わせた。 久しぶりにルルーシュが一人なのを見つけると、スザクは顔に喜色を浮かべ、ぱたぱたと犬のように走りよってくる。 その姿につきんと胸を痛めながらも微笑めば、満足そうにスザクが笑った。
「・・・久しぶり、スザク」
「久しぶり!うわぁ、会いたかったよルルーシュ!」
「・・・そうか」
淡く微笑み、ルルーシュは再び書類に向かった。 ルルーシュが笑顔を向けてくれた事に満足し、スザクも目の前にすわり、肘をつく。 手に顔をのせ、嬉しそうにルルーシュを見る姿は、喜色に満ちていた。
その後も数分ほどの間、スザクはたくさんの話をルルーシュとした。 ルルーシュの取りかかっている書類への質問から始まり、今までの自分の軍での境遇、 ランスロットに出会ってからの日々、ユーフェミアに出会った日の事。 ゼロへの批判、カレンへの批判、ユーフェミア素晴らしさ、彼女への賛辞、特区の希望に満ちた未来。
ルルーシュはあまり話に乗ってこなかったけれど、否定されない事が嬉しかった。 そうだな、うん、とスザクの気持ちを汲んでくれて、ルルーシュはスザクを否定しなかった。 その事にとっても幸せになって、スザクはその幸せが薄れないうちに今日持ってきたものを思い出した。
「あ、そうだルルーシュ」
「うん?」
「渡したいものがあるんだ」
椅子に立てかけていた鞄を手にとり、金具をまわす。 中のファイルから取り出した一枚の紙を抜き出して、 スザクは二つ折りになったそれをにこやかにルルーシュに手渡した。
「はい、これ」
「・・・?」
不思議そうにスザクを見遣ったルルーシュが、受け取りながら紙を開く。 見た瞬間絶句したルルーシュに、スザクは心から微笑みかけた。
「特区の志願書。だってルルーシュ入るでしょ?」



・・・カレン。

2009年9月1日