―――January
「「「Happy New Year!!」」」
ルルーシュはもちろんアルコールくらい平気だったけれど、ナナリー手前そうも行かない。
子供用のシャンパンを三つのグラスに注いで掲げ、カチャンと軽快な音を立てて乾杯をした。
「「「Cheers!」」」
新しい年は新しい世界の幕開けでもあると、この月はたくさんの催しがあった。
パーティーに出席し、今まで以上にスザクを連れ歩くようになったルルーシュは、
シュナイゼルにも皇帝シャルルにも、事ある毎にスザクを見せびらかすようになった。
スザクはそれがてれくさくて、でも同時嬉しくて誇らしくもあって、頬が緩むのを止められなかった。
私の未来の騎士です。私の、騎士です。
―――February
バレンタイン、ルルーシュに自分で見立てた花束を贈った。
嬉しそうに花に顔をうずめてくれたルルーシュはとっても綺麗で、花束ごとルルーシュを力いっぱい抱きしめた。
「Lelouch, would you be my valentine?」
それを聞いたルルーシュは破顔して、頬にキスを贈ってくれた。
耳元でそっとささやかれる。
「Would you?」
何をいまさら。
―――March
咲世子さんからもらった大きなダンボールの中には、日本からの贈り物がたくさん詰まっていた。
数ある品の一番上にでんと置かれていたそれは、手書きの卒業証書だった。
『スザク、中学卒業おめでとう』
そういえば小学四年生からのこの六年、学校には行っていなかった。
通信教育の要領でブリタニアの学校には一応籍をいれていたけれど、
アリエスで教えてもらっている方が学校へ行くよりも全然為になったから、一度も行ったことはなかった。
そういえば、日本でいうなれば自分は中学を卒業したのだ。
「スザク」
「スザクさん」
振り返ればルルーシュとナナリーが並んで座っていて、二人はスザクに、小さな花束を手渡した。
「「中学卒業おめでとう!」」
二人が日本語を喋るのを、とても久しぶりに聞いた。
―――April
「何?何なの?」
「いいからスザク、こっち来い!ナナリーが待ってるんだから!」
「えぇ?ちょ、もう・・!」
体力が全くないくせに、ルルーシュは全速力でスザクを引っ張って高台の上まで上っていった。
途中からスザクがルルーシュを抱き上げる羽目になったけれど、ルルーシュはむしろそれを嬉しそうに許容した。
ああ、やっぱりこういうのが恋人の醍醐味ってやつ?なんてスザクは思ったけれど、ルルーシュには絶対悟らせなかった。
「お姉様ー、スザクさーん」
何かの樹の根元に座り込んでいるナナリーと咲世子は、目の前にお弁当らしきものを広げていた。
まさか、と思えばルルーシュが笑って、スザクの顔を強引に上にむけた。
「スザク。―――ほら」
顔を上げれば、満開の桜がその桃色を花弁に乗せて散らしていて、
ここ数年見なかった桜に、スザクは自分の息が止まるのを感じた。
ルルーシュがスザクの手をゆっくりと引く。
「輸入したんだ。そういえばもう桜の季節だと思って」
ルルーシュの手を逆に引っ張って、腕の中へ。
すばやく、けれどちょっとした情熱を込めたキスをすれば、ルルーシュの顔が桜以上の桃色に染まった。
―――May
新緑の若葉が芽吹き始めた月だった。
ベッドの上で二人で外を見て、体を凭れさせていたルルーシュはそっと俺にキスしてくれた。
「若葉は、好きだ。スザクの色だから」
―――June
「ルルーシュはジューンブライドとかってあこがれたりするの、」
それを聞いたのは突然だった。
日本でもジューンブライドに憧れを持つ女性は沢山いるけれど、でも四季で色が溢れる日本では、六月=梅雨で決定なのだ。
お前らそんなじめじめした季節に結婚してぇのか、と思っていた幼い日の自分は今はいない。
だって見てくれ、ブリタニアのカラッとしたこの空気!
なるほどジューンブライドにもうなずける、
と少し感慨深く思っていたスザクはいざルルーシュにも聞いてみたけれど。
「ない」
「あ、ないの」
「好きな人と結婚できるんだったら、核爆発が世界を襲う日でもいい」
ちょっぴり怖いたとえをしたルルーシュは、それはそれは可愛らしい笑顔で、スザクを見ていてくれたのだ。
―――July
特に、七月十日。
この日は人生でも特に特別な日だった。
なんでってそりゃあ、自分が騎士になれる年だからだ。
別に騎士は何歳でも構わないのだけれど―――近々あのナイトオブラウンズを、
十何歳かの少女が襲名するという噂を聞いた―――
やっぱりルルーシュが十六歳でないと騎士を持つことを許されないのであれば、
自分も十六歳以下禁止令を作ってしまえばいい。
何もかもがルルーシュと一緒がいいのだから。
ルルーシュのためならば、何だって出来るのだから。
「Suzaku, Happy sixteenth birthday.」
そういって抱きしめてくれたルルーシュに、少しだけ胸が熱くなって、ないた。
「Thank you for everything, Suzaku...I love you」
かなり胸が熱くなって、ないて、抱きしめた。
―――August
―――September
―――October
―――November
I want my LOVE back
17. I will,
―――December.
December, the 4th.