晴天をバックに、開かれた広く高い扉の前に佇む貴方。




貴方の為だけに用意された赤い絨毯を、颯爽と。 私のいる壇上に向かって歩いてくる貴方の、なんと貴くみえることか。
貴方の為だけに用意した、純白の騎士服。 それに身を包んだ貴方が、心なしか泣きそうに見えるのは気のせい?
私の前で跪く瞬間、万感を込めたように瞳がやわらかく笑ってくれたのも、気のせいか。
心臓がうるさい。心臓が高鳴る。
スザク。
・・・私の為に、六年も頑張ってきた、貴方。
「―――枢木スザク」
騎士なんていらないと思っていた。 騎士などなくとも、母様とナナリーを守るだけの力ぐらい、自分でつけるつもりだった。
「汝、此処に騎士の誓約を立て、ブリタニアの騎士として戦うことを願うか」
「イエス、ユアハイネス」
うそばかり。昨日二人で練習したとき、ぼそりと「ルルーシュの騎士として」と呟いたくせに。 でも、それが嬉しい。
「汝、我欲を捨て、大いなる正義のため、剣となり盾となることを望むか」
「イエス、ユアハイネス」
冗談ばかり。大いなる正義だなんて、信じていないくせに。 やはり、ぼそりと「ルルーシュのために」と呟いたくせに。
でも、それが幸せだった。
六年前、この日の為に私が授けた剣を抜いて、まっすぐに私を見る貴方。 剣を捧げる貴方の手は、なんだか少しだけ震えている。
―――馬鹿だな、スザク。
今更、私が拒むかもしれないと不安になるだなんて。 六年待って、迷うわけがないのに。
剣の平を両肩に当てる。
ねえスザク。 今貴方にたくさんの物を背負わせようとしてる。 でもそれを、貴方が全身で受け入れてくれているから。
言葉でも、身体でも、心でも、魂でも。 私を愛して守ってくれると、そう言っているから。
―――だから、私は。
「我、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアは汝、枢木スザクを騎士として認める」

―――ありがとう、ルルーシュ。

・・・どうしよう、泣きたい。 でもそれはスザクも一緒だ。 だってわかる。目が潤んでる。
スザクの首にだきついて、抱きしめ返してほしい。 してはいけない事だと、わかっているけれど。
でも、回りには見知った顔しかいない。 媚売りの貴族も、成金将校も追い払ってしまったのだから。

目頭が熱い。
もうどうにでもなってしまえ。


「〜〜〜っ・・・スザク!!」
「ルルーシュ・・・っ!」

ずっと長いことそうしていた。 私のドレスのマントも、スザクの騎士服の肩口もぐっしょり濡れた。 でもそれが私達だった。

「スザク・・・スザク」
「ルル、ルルーシュ・・・ルルーシュ、やっとだ・・・」
「うん・・っ・・・スザク・・・!」



(ずっと一緒だ、ルルーシュ)
(永遠に、スザク)



I want my LOVE back
20. ありがと、大好き、大好き!






―――ねえスザク、貴方を忘れてまで生きたくなど、なかったの。








I want my LOVE back 第一部、これにて完結です! 長い間お付き合いくださりありがとうございました!第二部では色々と核心についていきたいなと思っております。 応援してくださったたくさんの方々、本当にありがとうございました!

2008年12月28日