臨時美容室



「ルル、ごめんねいきなり・・・」
「いいよ、シャーリー」
申し訳なさに眉をひそめた彼女に笑って、ルルーシュはそっとシャーリーの頭を前に向けさせた。 髪の上部だけをまとめているヘアゴムをそっと引き抜き、右手首にかけておく。 少し波打ってしまった髪をブラシで丁寧に梳きながら、ルルーシュは鏡の前にいるシャーリーを見た。 その顔は緊張とドキドキとした高揚感で若干紅くなっていて、ルルーシュはそっと笑った。
「シャーリー、失敗したらごめん」
「う、ううん!いいの!私、ずっとルルに髪切ってもらいたかったから!」
「そう?」
「うん!!」
大きくうなずいたシャーリーに笑いをこぼして、ルルーシュはタオルをシャーリーの首に巻き、 要らなくなったシーツを裂いたものをシャーリーにかぶせた。 後ろを安全ピンで留めて、下に新聞紙を敷けば、女子寮QUEENの寮長室は臨時美容室にはや代わりだ。
「では、お客様。本日はどのような髪型にいたしますか?」
半歩右足を下げ、営業スマイルでおどけながら聞いてきたルルーシュに、シャーリーがおかしそうにわらった。
「えーっと、じゃあまずは髪の量を少なくしてください!」
「かしこまりました」
しゃきしゃきと手の中ではさみの精度を確かめ、くるりと指で一回転させる。 なんとなく手に馴染んだのを感じてから、 ルルーシュは持っていたクリップでシャーリーの上部の髪をあげてとめ、下の髪をてにとった。


「わぁっ、ルルすごい!ありがとう!」
「どういたしまして、シャーリー」
くるりと一回転したシャーリーの髪がふわりと軽く舞ったのをみて、ルルーシュは満足そうに笑った。 シャーリーの髪を梳き、ついでに毛先を少し整えた程度のものだったが、 昔のカンを取り戻せたのか、思いのほか出来は良かった。 シャーリーと一緒に髪が散らばった新聞を丸めシーツと一緒に捨てる。 タオルは洗濯籠に放り込んで、二人は揃って部屋を出た。 もうすぐ夕食だ。
その後は副寮長で同室でもあるC.C.に口裏を合わせてもらって、彼の元を訪れようとルルーシュは心に硬く誓った。



突発的に始まった寮のお題で。まずはシャーリーとルル。ルルの彼ってのはもちろん保険医の 星刻先生です。(むふふ

2009年1月7日