満天に届け!
ちらちらちらちら。周りの視線がいたいが、そんなのは二人とも慣れっこだ。
真っ白なファーの襟を巻いて、綺麗な着物を着た二人は、このマクロスフロンティアでは有名すぎる二人である。
銀河の妖精シェリル・ノームと、超時空シンデレラランカ・リー。
いまや銀河系を代表する歌姫となった二人は、現在フロンティアに数ある神社の一つに来ていた。
「寒いですねぇ、シェリルさん」
「そうねぇ。でもこんなの初めてだから」
「あっ、そっか」
「うん。だから今年の紅白、オファーをお断りしてよかったわぁ」
「きっと今年の紅白、視聴率低いですよー。だって、シェリルさんが出ないんだもん」
「そんなこと・・・あるかもしれないわね。ランカちゃんも断っちゃったんだもの」
「そんなぁ!」
二人で神社のお賽銭箱に近づいて、鐘を鳴らして五円を入れる。
パンパンと手をあわせてお祈りをして、二人はおみくじを買いに行った。
二人が触った後の鐘の縄を、競うようにファンたちが触ろうとミニ戦争が起こったのは予断だ。
百円渡してからからとおみくじを引き、28が出たランカと5が出たシェリルは番号を見せて紙をもらう。
「やった、大吉よ!」
「え〜シェリルさん大吉ですか?私、大凶だぁ・・・」
犬の耳のような髪をしゅんとタレ下げたランカをみて、シェリルがその手からおみくじを奪い取る。
そのままシェリルのと重ね合わせて気にくくりつけたのをみて、ランカが驚いた声を上げた。
「シェリルさん!?」
「ほら、私の大吉とランカちゃんの大凶。あわせて吉。木に結んだら良くなるんだから、大吉よ!」
「〜〜〜っ、シェリルさぁんっ!」
「よーしよしよし」
勢い良く抱きついてきたランカを、シェリルが抱きとめる。
しばらくぎゅうぎゅうと楽しそうに抱きあっていた二人だったが、
ランカがファーに忍ばせていた携帯が震えたのを感じて離れた。
「もしもし?アルトくん?」
『ランカ?』
「うん、そうだよ。どうしたの?まだ時間じゃないよね?」
『ああ。今から始めるからさ。報告だけ』
「そっか!シェリルさんと一緒に見てるね!頑張ってね!」
『おう!じゃ、シェリルにもよろしくな』
「ばいばーい」
ぎゅむ、と携帯を握って通話を切って、もう一回ファーに携帯を戻す。
「アルト、なんだって?」
「今から飛び始めるそうですよー」
「そう。じゃ、あと十五分くらいね」
「そうですね!」
「一曲ここで歌う?」
「え!いいのかなぁ・・・・」
「アカペラだからいいわよ。別にお金取るわけじゃないんだし」
「じゃあどれ歌います?」
「そうねえ・・・メドレーはどうかしら」
「いいですね〜」
SMSメンバーによる年末スカイアートの約五分前に、
銀河の二人の歌姫による突発アカペラライブが大盛り上がりした。