なんという事でしょう。

私も十二のときはまな板だった、そう写真とともに言って下さった師匠の言葉を励みに、五年かけてDまで育て上げた私の胸は。
あら不思議、元通り。

って何でよォォオオオオオオオ!?




私達ってなんて青春!



十七の時にサスケ君を取り戻し、一年。十八歳になった私達は、サスケ君の監視取り外し記念として居酒屋で飲んでいた。
うちはという血統、そして実力。いくら抜け忍といえども殺してしまうには彼は木の葉にとって惜しい逸材で。とはいえ木の葉への裏切り、大蛇丸との繋がり、鷹という反抗勢力のリーダーとあっては、そう簡単に信頼が置けるものではない。彼は戻ってきてすぐに上忍の称号を与えられたけれども、暗部として危険な任務ばかりに就かされ、扱いはひどいものだった。監視だってつけられて。けれどサスケ君は屈しなかったし、私もナルトも誇らしかった。数年は続くと思われたそれは、彼が評価されたおかげで一年という極めて短い既刊で終わりをみせ、私達は昔のカカシ班としてお祝いしていたのだ。
「はしごするぞー!」
「二軒目いくぞー!」
「おー!」
酔いが回った私達は非常に朗らかだ。サスケ君は私とナルト、カカシ先生にだけは肩の力を抜いてくれるし、屈託なく笑ってくれる。愛想の無さもそっけなさも私達の前では六割減。私のサスケ君への愛情は一滴たりとも減ってはいないけれど、ナルトの分への愛情が加算された。二人とも、私のかけがえの無い人たち。多重婚が許されるのなら二人と結婚するのに。なんてね。
「あ、ねぇね、私今日これ家からもってきたの!懐かしくない?」
そう言って懐から写真を出せば、ナルトとサスケ君が両脇から、先生が背後頭上から覗き込んでくる。ふふ、写真の構造そのままじゃない。
「わ!これってば、下忍の時の写真?」
「そう!私達ちっちゃーい。ナルトぶっさいくーサスケ君ふてくれされすぎー」
「うるせ」
「サクラちゃんそれないってば!」
「えーサクラ、先生は?」
「先生はかっこいいわよ!」
「嬉しいなぁ」
ぐりぐりと頭を撫でられる。もう子供じゃないったら。
「先生やめてよ、せっかくセットしたんだからぁ」
「ぼさぼさでもサクラはかわいーよ」
「どーも」
サスケ君が無言でちょいちょいと直してくれる。器用な男っていいわね。ナルトにやらせると酷くなるんだけど。
「あーでも、この頃は良かったってば、なんか」
「ん?」
私の手から写真を奪ったナルトが、夜空に透かすように頭上に掲げる。こうしてみんなして上を見上げると解るけど、二人とも、ホント背が高くなったわよね。私の頭が二人の肩ってどういう事よ。昔はナルトが一番ちびだったのに。カカシ先生は相変わらず杉の木だし。
「俺とサスケは喧嘩ばっかしてて、サスケはいーっつもむっつりで、あ・ゴメンサスケってばなぐんないで痛いイタイ、カカシ先生は遅刻するわいちゃパラ読むわこの俺様の前でサクラちゃんにセクハラかますわイタイ!サクラちゃんはサスケしか見てないわイタタタタタ」
不穏な言葉が発せられる度に私達の誰かからナルトに攻撃が行く。それでも喋り続けるんだからホント懲りないわよね。
「でもやっぱ楽しかった。俺にとってのはじめての仲間でさ、バーちゃんの買い物の手伝いとかいうシケた任務から波の国や雪の国のAランク任務まで」
ナルトの言葉を聞きながら歩いていた私達は、いつの間にか飲食店が立ち並ぶ場所からは遠く離れてて。影分身でカカシ先生が近くのコンビニから買ってきたおつまみや缶ビールをぶら下げながら、私達は神社の方まで歩いていた。
「お参り、してく?」
「うん」

階段を上って、何となく腰を落ち着ける。
「あーなんか、ちょっとこの頃に戻ってみたいってば」
「当時の自分にお説教でもするの?」
からかい混じりに聞いてみれば、
「うん。サクラちゃんは顔だけじゃないんだぞ!とか、サスケのやってる事に間違いはねんだからあんまり目の敵にすんなよ!とか、まー色々だってば」
「あはは!そうね、それだったら私も、あんまりナルトの事うざいうざい言っちゃだめよとか、サスケ君は顔だけじゃないのよとか、あと、ナルトにちゃんとおべんと分けてあげるのよとかね」
「サスケは!?」
「あー・・・あんまり若いうちからスカしてんなよ、とか?」
「「「ぶっ!」」」
「ってめぇカカシ、テメーにだけは笑われたくねェんだよ!!」
「ちょっサスケ酷くない!?横暴!」
「るせェこの淫乱ヒワイ教師!」
「酷い!サクラ怒って!」
「サスケ君頑張ってー」
「酷い!ナルトやっちゃって!」
「きゃーサスケ君かっこいー」
「酷い!」
サスケ君とカカシ先生の追いかけっこって、なんか凄まじいわね。
そして。
「あーあ、お前らが十二のときは、あんなに可愛かったのにね!!!!」
といって神社の境内の前にある岩に先生が触れて。



「・・・・・・・・・・・・ん?」
私の手にはお弁当。ていうかこの服昔きてたやつ?
ていうかパッと下見ただけじゃお腹が見えないくらいには育っていた私の胸が無い!!!!!!!

「は?」
ちょっと高めの、けれど聞き慣れた声にばっと振り向けば、丁度ご飯を頬張っていたサスケ君と目があった。目には困惑。職業柄、にわかに信じがたい状況でも頭を回転させる事をおぼえた私達二人は瞬時に何かを悟り、二人して斜め上を見上げれば。
わけも解らず丸太に縛り付けられていた小ちゃいナルトが、いた。


「「「・・・・・・・・・・・・・・・え?」」」



1. まずは状況を整理しましょう
2. なぞっていくのも大切です
3. 変えちゃダメです、つらいけど
4. 体は子供、頭脳は大人??
5. チョロいだなんて言っちゃだめ
閑話休題
6. 集合するときは必ず引率の先生の元にいきましょう



趣味まるだしっ

2011年7月4日